問題事例の紹介
約2年半前の事例です。スポットで相談をお受けしました。
トラブルになってからのご相談なので、難度4になります。しかし、問題となる事実が発覚してすぐのご相談であったことと、またその半年前に就業規則等の見直し変更を実施したばかりでした。そのタイミングは偶然でしたが、事案を解決するには会社にとっては、リスクが少なく、早期に解決できた例です。
(これまでの経験で、スポットのご相談の場合は、なかなかこのような解決はできません。担当者の方等が思い込みや知識不足で、不利益な材料が多くなったり、いつ問題が起こってもおかしくない状態にかかわらず、幸運にもこれまで問題化しなかった例が多く、解決に時間や経費が掛かるのがほとんどです)
業種はサービス業ですが、物販もある会社です。
営業マンAが会社の商品を盗み、その代金を着服しました。事件発覚のきっかけになる出来事があり、会社の担当者は本人に事の顛末を聴くと、自分の行為を認めました。そしてすぐに、私にご相談の連絡が入りました。
本人が認めたことの証拠固めにすぐにとりかかりました。この部分は難度3になります。後で「言った、言わない」の論争にならないように、早期解決のためにもです。おそらく会社にも本人にもメリットはあると思います。ここでは具体的には文書の作成等です。
事が重大な懲戒事由になるので、「解雇予告除外認定」の申請の準備にも取り掛かりました。通常の解雇する場合、少なくとも30日前に解雇予告をするか、30日以上の予告手当を支払うことになります(労基法第20条第1項)が、その必要がないとの労働基準監督所長の認定を得るための準備や申請です。
解雇による退職が確定すると、退職金の支払の問題が出てきます。会社の就業規則には、懲戒事由での退職の場合は「退職金の減額又は支給しないことがある」旨の規定がありました。その規定に基づき、合理的な範囲内での処理をしました。難度2の部分です。この規定があったことで対処できました。
Aの在職中の事実関係を調べると、更に同じ事由の事実が発覚していました。
退職後も更なる会社の損失が明確になることも考えられました。退職後も退職金の返還、更に退職後も会社の損害が明確化したとき損害賠償ができるとする規定も就業規則にありました。もしものことが退職後発覚すれば、この規定により処理することになります。難度2の部分です。
難度2の部分は、民事的な取り決めです。
合理的な範囲で規定したほうがよい例が少なくありません。
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